炭EDLC 充放電回路

炭EDLC 充放電回路

EDLCとは、電気二重層キャパシタの略語で、蓄電装置の一種です。
炭と塩水で作れる蓄電装置があるらしい、という話を聞いて、2018年の暮れからISOLAで研究を始めました。

今回は、炭EDLCの3つの充放電回路の候補を挙げて、それぞれの中身を考えていきたいと思います。

僕たちが作っている、自作可能な炭EDLCの詳細はこちら↓

1.なぜ充放電回路が必要?

まず、炭EDLCにとってなぜ充放電回路が必要なのでしょう?
そのまま使った方が効率も良いと考えますよね。この章ではなぜ充放電回路が必要かを説明します。

EDLCの電圧

EDLCは電解質の違いにより、水系と非水系の2つに分けられます。
電解質に水溶液を使うのが水系。
それ以外、たとえば、有機溶剤系が非水系です。
結果として、セル電圧に差が出てきます。

  • 水系・・・ ~1.2V(これ以上の電圧だと水の電気分解が起こる)
  • 非水系・・・3~4V
引用元:イオン液体の市場 | CMCリサーチ

どちらにしても、EDLCの場合、このままの電圧ではとても使いづらいので、直列つなぎをし、電圧を高めて利用しなければ、なりません。

充電時の電圧の偏り

しかし、ただ単に直列つなぎして、充電しても、静電容量の違いや漏れ電流により、それぞれのEDLCに電圧の偏りが出来てしまいます。
ではどうすればよいか、2つの方法が挙げられます。

  1. 充電時に並列つなぎにし、放電時には直列つなぎになるような回路を使用する。
  2. 直列つなぎにした状態で、ここのEDLCの電圧を均等になるようなセルバランス回路を使用し、充放電する

おそらく、この2つの方法が現時点で私が調べたり、聞いたりして、たどり着いた方法です。
では、具体的にどんな回路にしていけばよいか検討していきます。

2.炭EDLCの3つの充放電回路

放電実験に使っている昇圧型のDCDC昇圧コンバーターを調べているうちに、3通りの充放電回路の候補が出てきました。

いろいろ調べていくと、部品点数がすくなく、コンデンサーの繋ぎ変えだけで出来る、「チャージポンプ」という方式のDCDCコンバーター回路を発見しました。

引用元: 第9回 DC/DCコンバータってなに?(その5) | Club-Z

チャージポンプ方式

チャージポンプの特徴は、次の通り。

  1. 部品が少ない。専用ICを用いればIC以外に使う部品はコンデンサとダイオードくらい
  2. 効率が高い。ほとんどのチャージポンプICはPFMモードで動作する為、軽負荷から定格まで高い効率が得られる
  3. リップル電圧は大きい。インダクタが無いので輻射ノイズは小さいもののリップル電圧は大きい

そして、次のような欠点もありました。

DC/DC コンバータには主要部品としてコイルを用いるタイプと、コンデンサを用いるタイプがあります。 本記事で紹介する「チャージポンプ」は後者のコンデンサを用いるタイプです[4]。 どちらもそれぞれに利点も欠点もありますが、 コンデンサを用いるタイプでは大きな電流を取り出すことが難しいという著しい欠点がありますので、 一般的にはコイルを用いた DC/DC コンバータの方がよく使われているようです。


https://www.epii.jp/articles/note/electronics/charge_pump

上記のような「大電流には不向き」という欠点がこのチャージポンプ方式にはありますが、これをコンデンサではなく、炭EDLCに代用することで、克服出来るのではないか?と考えました。
そして、この回路を”放電用のDCDCコンバータ”としてではなく、そのまま炭EDLCの充放電回路として、使えるのでは?と思いました。
この引用元のページでは、チャージポンプの原理や仕組みが詳しく書いてあり、ICチップを使わずに単体素子で作る(ディスクリート)回路の考え方も載っていて、とても参考になりました。

これ以外のデメリットは、今の所思いつかないけど、やってみないとなんとも言えないですね。

電圧リファレンスIC方式

もう一つの充放電回路の候補は電圧リファレンスICというものを並列につなぎ、コンデンサーに1Vの基準電圧をかけるというアイディア。
精度も高いICなので、ツェナーダイオードよりも安定していて、低い電圧にも対応している模様。

ここらへんの部品が1.0V出せそうなので、良さそうだな、と思っている。

放電はこの電圧リファレンスICとコンデンサーを直列につないだ状態で放電をする。

ソーラーパネルセル並列方式

さらに、もうひとつ、EDLCの充放電回路で考えているものがある。
初期の頃に考えていた、ソーラーパネルと並列につなぎ、充電する方法。
これは手元のもので出来たので、実験してみた。
容量が違う炭EDLCをわざと繋いで見て、充電をしていても、異常はない。
並列の2つのユニットを直列につないで、放電を行った。

この方法のデメリットはやはり、ソーラーセルを1つずつ使う必要があるので、DIYで作ろうとしたときに一般的ではないかもしれない。

3.まとめ

以上、今、現在の炭EDLCの充放電回路は3つの候補が考えられる。

  • チャージポンプ方式
  • 電圧リファレンスIC方式
  • ソーラーパネルセル並列方式

どれも魅力的だが、チャージポンプ方式と、電圧リファレンスIC方式は部品が手元にないので、まずは、ソーラーパネル方式でやってみようと思う。

自作の炭EDLCは規格化された工業製品と違い、静電容量などに違いが出てしまうので、そこをカバーするような構成が必要だなと実験を繰り返す中で感じている。
試行錯誤しながら、ノウハウをためていこうと思う。

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