DIY 炭EDLC

DIY 炭EDLC

EDLCとは、電気二重層キャパシタの略語で、蓄電装置の一種です。
炭と塩水で作れる蓄電装置があるらしい、という話を聞いて、2018年の暮れからISOLAで研究を始めました。

炭と廃バッテリーの希硫酸から作るので、自作可能です。
森林の利活用、廃鉛バッテリーの活用にも繋がります。
”リチウムは作れないけど、炭は作れる。”
そういう思いもあり”炭EDLC”と名付けました。
そして、ISOLAでは、実用レベルのものをオープンソースで作りたいと思っていますので、研究開発、実験、作り方等も公開していってます。(現在進行系です。)
「自分も作ってみたい!」という人の参考になれば幸いです。

1.なぜ炭EDLCなのか?

電力のオフグリッドを行う際の一つのハードルは、バッテリーの価格が高いことにあります。
鉛バッテリーですと、メンテナンスが難しかったり、大きさの割には容量が小さかったり。
そこで、 容量が大きく、高出力のリチウムイオン電池は?となりますが、高価で、発火や爆発の危険性もあるため、専用のマネジメントシステムが必要になったりと、複雑にもなり、敷居が高くなります。
そこで、自作可能な炭EDLCを確立すれば、安価でとても長寿命なので、解決出来るのでは?と思ったのが、研究に着手するきっかけとなったわけです。

炭EDLCと少量のリチウムイオン電池がオフグリッドを進めて行く上では良いのでは?と私達は考えています。

EDLCのメリット

充放電回数がほぼ無制限

リチウムイオン電池と比べると炭EDLCは充放電回数に優れている。
EDLCの充放電には化学変化を伴わないので、劣化が理論上、ほぼない。
リチウムイオン電池も1000回の充放電で容量70%維持など、優れているが、劣化は現れてくる。
また、リチウムイオン電池の場合、単セルだけを新品に買えると、その他のセルに容量を合わせるようなシステムになっているので、部分的な取替の恩恵を受けにくく、やはり、今の所、劣化は免れない。

充電時間が短い

充電にかかる時間が短い。実際に作っていても、数分で充電の7割は行っているように思う。

自作可能

これはどちらかというと、”自作可能なように作る”という命題を目標にして、炭EDLCを作っているというのもあるかも知れない。
現に、廃バッテリーや、炭、そのへんにあるもので作っている。
集電極に関しては、今のところ、炭素電極を使っているが、これも代替えが可能なような気がしている。(2019年6月現在)
製品として作ると大きく、重いのがEDLCのデメリットだが、それは運送コストがかかり、商品として、成り立ちにくいが、DIYでそのへんのもので作れるならば、そういう運送コストは気にしなくてよい。
そういう意味でも自作可能であることは、炭EDLCの性分にあっていると考えている。
リチウムに関しては言及するまでもないと思うが、レアメタルなので、ほぼ自作不可能と言える。

2.開発目標

こんなことが出来たらいいな。というのを性能目標にしている

  • 安価に自作可能。
  • 太陽光発電システムなどの一時蓄電的な使い方をしたい。
  • 48Vシステムで使いたい。
  • 30年程度の実際の耐久性。
  • 家などの建造物の一部としての利活用。

3.これまでの取り組み

これまでの記録はYoutubeのISOLAチャンネルでも見ることが出来ます。
炭EDLC用の再生リストがあり、今までの取り組みを見ることが出来ますので、興味があるかたは見てみてください。

初期型

2018年12月~
電解質に塩水、炭を分極性電極として製作。配線の銅線の化学変化による化学電池の可能性が高く、次のタイプのものに移行。

2型

2019年3月~
電解質に塩水。集電極を鉄板で行い、紙のセパレータを入れるようなデザインに。放電時間が数秒と、性能が高くなかった。

3型

2019年6月~
電解質に希硫酸。集電極に炭素電極、セパレーターに多孔性シートを用いたもの。放電時間は数分から数十分となり、性能も飛躍的に上がった。

4型

2019年6月~
電解質に希硫酸。集電極にステンレス板、セパレーターに多孔性シートを用いたもの。炭素電極よりも、一般的で材料が手に入れやすく、性能も3型と遜色ない。

3.炭EDLCの作り方

2019年7月、現時点での炭EDLCの原材料などを記載します。

電解質

自動車用の廃バッテリーの希硫酸(H2SO4)を再利用して使っている。
水酸化カリウム(KOH)や、水酸化ナトリウム(NaOH)、食塩水(NaCl)も、利用できるが、廃バッテリーがあれば、希硫酸の方が無料で手に入り、再利用にも繋がる。

この電解質の違いによっても、得られる電位などが違うと感じる。

集電極

炭素電極。もしくはステンレス板。
今後、違う素材を模索するか、炭素電極を低コストで作る方法を模索するか、悩み中。
アルミニウム板は化学反応しやすく良い結果は得られなかった。

ステンレスは酸化皮膜が出来ても、比較的電気を通しやすく、化学反応しにくいので使えると思う。また、市販されていて、手に入れやすい。

また、表面積などや、電解質の浸透具合など構成性能によって、集電極には、適した極性があるように感じる。

DMM(デジタルマルチメータ)で抵抗値を測定すると、0Ωになる場合と、テストリードを逆にすると、抵抗値が現れる場合とがある。

セパレータ

多孔性シートのような保湿性のあるものを使います。性能アップが望めます。

竹などの廃材を中心に燃やしたものでよく焼けたものを使っています。
水で洗って、乾かして、粉砕して、ふるいにかけて使っています。

炭EDLCでは、炭の小さな細孔にイオンが惹きつけられて電荷を蓄えるので、この炭の表面積に比例して静電容量も増える傾向にあります。

4.これからの開発

今後はさらなる性能の向上と、充放電回路の設計、さらに実用性を高めるために炭EDLCに最適化した各種直流家電の開発を行う予定です。

今後もこのブログに追記して、内容を充実させていく予定です。
動画配信は定期的に行っていますので、そちらもチェックしてみてください。

3件の返信

  1. シンデン より:

    はじめまして、シンデンと申します。素晴らしい活動ですね。炭EDLCを作りたくなりました。

    竹炭作りから始めます。いろいろと参考にさせていただきます。

    • isola0207 より:

      返信、遅れました。m(_ _)m
      ぜひ、製作してみてください。バッテリーが自給できれば、電気を取り入れた便利な自給自足を始める一歩になると思っています。
      今後も、実験を重ねて、報告していきます。
      なにか、気付きなどがあれば、シェアしていきましょう。

  2. 匿名希望 より:

    数年前から見てますisolaそん。蓄電もやられていたとは!非常に興味ありますし、これからも着目していきたいです。日本を変え、世界を変えて下さい!期待しています!!

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